双方向電源とは?
双方向電源
双方向電源は、機器に電力を供給する「ソース機能」と、機器から電力を吸収する「シンク機能」の両方を1台で担う、高性能な直流電源です。従来、バッテリなどの評価には、供給用の直流電源と吸収用の電子負荷という2台の機器が必要でしたが、双方向電源を使えばこれらを1台に集約でき、評価環境を大幅に省スペース化することが可能です。
最大の特長は、吸収した電力を熱として廃棄するのではなく、事業所の電力系統へ再利用する「電力回生機能」にあります。これまで無駄になっていた電力を有効活用でき、事業所内の消費電力を抑えるとともに、CO₂排出量の大幅な削減にも貢献します。さらに、廃熱が抑えられることで空調設備への負荷も軽減され、全体的な省エネ効果が高まります。
このように、双方向電源は省エネと省スペースの両立を実現しながら、二次電池の充放電試験やモーターの力行・回生試験など、双方向の電力制御が求められるさまざまな評価に最適なソリューションです。
双方向電源の動作について
電圧の極性をプラス側のみとし、その範囲で電流の極性をプラス↔マイナスに自由に切り替えることにより、電力の供給(ソース)と吸収(シンク)を行います。これによりバッテリーの充電(供給)と放電(吸収)のように双方向の試験が可能となります。但し、電圧の極性をプラス↔マイナスに切り替えることはできません。
双方向電源の選び方はこちら
ピックアップ製品
| 電力:6kW~ |
電圧:80V |
電流:±200A / ±400A / ±600A |
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電圧:800V |
電流:±22.5A/±45A/±67.5A |
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電力回生型 双方向直流電源
電動パワートレイン・蓄電システムなどの電子部品・インバータ、パワコン、コンバータなど
さまざまなフィールドの評価試験に対応
| 電力:20kW |
電圧:100V / 200V |
電流:300A / 600A |
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電力回生型充放電試験装置
バッテリの大容量化に追従 特性試験や充放電試験に最適
充放電電源と計測ユニットを1ラックに集約した充放電システム
専用ソフトウェア、周辺機器との組み合わせにより手軽で本格的なバッテリの充放電電源を提供
双方向直流電源/充放電電源を1台に凝縮したハイブリッド電源
モータ、インバータ、コンバータの特性試験に最適
また、専用ソフトウェア・周辺機器との組み合わせにより手軽で本格的なバッテリの充放電試験(※1)を提供
RZ-X-100K-Hと互換性を維持しているため、双方向直流電源でご利用時RZ-X-100K-Hとの混在利用が可能(※2)
※1:充放電試験を行うためには、別売の充放電ソフトウェア (LinkAnyArts®-CD)が必要
※2:充放電電源で利用する場合、RZ-X-100Kシリーズと混在できません。
双方向直流電源/充放電電源を1台に凝縮したハイブリッド電源
高速応答、高精度、高安定性、高信頼性により実環境に近い評価試験を提供。
また、電力回生技術により、設備環境・運用のコスト削減に貢献。
| 電力:100kW |
電圧:750V / 1500V |
並列可能台数:20台 |
| 回路方式:スイッチング方式 |
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電力回生型双方向直流電源 RZ-Xシリーズの大容量タイプ
大容量化することで、モーター・インバータ・パワコンなどの大容量化に伴う評価や疑似環境試験に追従。また、専用ケーブルによる容易な直並列増設により、用途に応じた電流・電圧容量の増設が行え、幅広い評価試験へ利用できます。
| 電力:10kW~200kW |
電圧:100V~1000V |
電流:40A~1200A |
| 回路方式:スイッチング方式 |
RZ-X-10000-Lのみ2024年5月販売終了
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モータ、パワコン、インバータなどの評価に最適
直流電源機能と電子負荷機能に加え、回生機能を装備した電力回生型双方向直流電源です。また、ユニット構成の採用により、従来のラック構成に比べ小型・軽量化を実現。専用台車(オプション)を使用して、容易に運搬できる。回生時に発生したエネルギーを有効活用し、省エネに貢献。また、専用ケーブルによる容易な直並列増設、およびウェブブラウザによるコントロールを実現。用途に応じた電流・電圧容量の増設が行え、幅広い評価試験へ利用できる。
| 出力電圧:60V~1000V |
出力電力:17.5kW~400kW |
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電力回生型 充放電電源
電力制御技術と新世代のソフトスイッチング方式の組み合わせにより、1台で力行(電源装置として)・回生(電力回生電子負荷として)として効率よく行える双方向直流電源方式です。二次電池の評価試験に要求される高速動作、高精度、高信頼性を兼ね備えた充放電試験システムです。充電時の直流電源としての変換効率の高さはもちろん、放電時の電力も高効率で系統に電力回生し、従来方式より発熱量を約80%削減することに成功しました。エネルギーの有効利用と空調に対する負担も低減するため、二酸化炭素の排出も大幅に削減でき、地球環境に配慮した充放電電源です。
| 出力電圧:650V~1000V |
出力電力:100kW~400kW |
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電力回生型 双方向直流電源
高砂製作所の電力回生機能付き直流電源は容量100kW~400kW対応のバッテリシミュレータ(疑似電池装置:バッテリエミュレータ)として、 回生モータや回生ブレーキのインバータ試験用電源として最適な双方向直流電源です。
電力回生機能付き直流電源とは、電源が電流を吸い込む(回生電流)能力を電力回生技術により出力電流(力行電流)と同等に強化した双方向直流電源で、被試験装置(負荷又は充電)にACラインから電力を供給する電源機能と、その被試験装置(発電又は放電)から電力を吸収し、抵抗式又は半導体式ドロッパのように回路内でエネルギをすべて熱損失(ジュール熱)にして捨てる方式ではなく、ACラインへ電力を回生する電力回生機能付き電子負荷装置機能を装備した電力回生型双方向直流電源です。
| 電圧:最大1500V |
電流:最大±1500A |
| 電力:最大±500kW |
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EVパワーエミュレータ(Electric Vehicle Power Emulator)は電気パワートレイン各要素部品の挙動を模擬し、現実の電圧、電流、電力による試験環境を提供いたします。
当社の大電力を自在に操る電力回生型エミュレーション装置にネットワーク機能を装備していますので、遠隔制御やサーバ連動などのほか、HILS(Hardware In the Loop Simulation)システムとの連成可能です。
インバータやモータなどの要素部品をあらゆる状況を想定し徹底的に評価することで、電気パワートレインの研究開発における試行錯誤の時間を削減することができます。
【充放電電源 オプション】DUシリーズ
| 最大計測チャンネル数:104チャンネル(電圧計測用ボード4枚実装時) チャンネル間絶縁 |
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高速多チャンネル同時サンプリング データアクイジションユニット
マルチチャンネル・データアクイジションユニットDUシリーズは、燃料電池、二次電池、スーパキャパシターモジュールなどのセルのデータ収集に最適な装置です。 計測データのサンプリング周期は最速10msと高速化を実現しました。1台で最大104チャンネル、最大5台のマルチ接続で、520チャンネルまでの計測が可能です。全チャンネル同時サンプリングも可能です。
制御コンピュータとのインターフェイスに、LANを装備している為、高速大容量の記録計測システムを容易に構築出来ます。
双方向直流電源の選び方:9つの重要ポイント
最適な双方向電源を選ぶためには、評価したい対象(ワーク)の仕様や試験内容に合わせて、いくつかの重要な項目を確認する必要があります。
●ポイント1:基本仕様(定格電圧・電流・電力)
評価対象の仕様に基づき、必要な定格電圧(V)・電流(A)・電力(W)を選定します。電力の「供給(ソース)」時と「吸収(シンク)」時、両方の最大値を満たすモデルを選定することが重要です。余裕を持った定格のモデルを選定してください。
●ポイント2:応答速度
電圧や電流を変化させる際の速さで、実環境を模擬するような高速なシミュレーション試験では、応答速度の速いモデルが求められます。また、電流極性が反転した時もシームレス(継ぎ目がない)で動作することも重要です。
●ポイント3:安定度
評価対象の負荷状況が変化しても、安定した電圧(電流)を得たい場合は、出力電流(電圧)が変化しても、出力電圧(電流)の変動が少なく、入力電圧が変動しても、出力電圧の変動が少ないものが求められます。
●ポイント4:増設性
様々なケースで利用することが想定される場合、直列接続や並列接続できたり、接続台数が多い方が幅広い電力を得ることができますので利用する電力にあわせて選定したほうがよいです。
●ポイント5:外部インタフェース
用途にあった外部インタフェース(LAN、USBや外部制御/ステータス端子)が装備されていることを確認してください。
●ポイント6:電力回生
吸収した電力を事業所内の電力系統に戻せるもので、電力の再利用による省エネ効果と廃熱抑制による空調設備のコスト削減効果に期待できます。また、電力回生により、運用する機器に影響がないよう回生時の回生電流歪率の確認が必要です。
●ポイント7:安全性
電源本体と接続機器を守るための保護機能(過電圧保護、過電流保護、過温度保護など)が搭載されているかを確認します。また、過電圧保護(OVP)や過電流保護(OCP)、非常停止ボタン、運用状態表示用シグナルタワーなど、高価な評価対象と電源自身を保護する機能は、安全な試験環境の構築に不可欠です。また物理的なサイズも確認しておきましょう。
●ポイント8:バッテリ充放電
電源を使って、バッテリ充放電試験を行う場合、バッテリの電圧、電流、温度計測用のデータロガーや恒温槽などと連携して動かすことができることを確認したほうがよいです。また、バッテリとBMU(バッテリマネージメントユニット)をあわせて、試験をする場合は、BMUとの連携ができるか確認してください。
●ポイント9:ソフトウェアオプション
電源を接続する評価対象に伴い、必要なソフトウェアのサポートがあるのか確認したほうがよいです。
例:バッテリ模擬、太陽光模擬、バッテリ充放電、燃料電池模擬など